楽天市場の市場規模の調べ方|ジャンルごとの売上構造をデータで把握する方法

「自分が出店しているジャンルの市場はどのくらいの規模なのか?」「このジャンルはまだ伸びているのか、それとも頭打ちなのか?」——楽天市場で出店していると、こうした疑問を感じることがあります。
市場規模を把握することは、商品企画、仕入れ判断、広告予算の配分など、さまざまな意思決定の土台になります。しかし、楽天市場はジャンル別の売上データを公開していないため、正確な市場規模を知るのは簡単ではありません。
楽天市場のジャンル分析ツール「ミエルジャン」で34ジャンルのデータを分析すると、ジャンルによって売上の集中度、変動パターン、価格帯がかなり異なる傾向が見えてきました。これらの情報を組み合わせることで、市場の「大きさ」だけでなく「構造」まで把握できるようになります。
この記事では、楽天市場のジャンル別市場規模を調べるための具体的な方法と、データから読み取れることを紹介します。
なぜ市場規模を知る必要があるのか
市場規模の把握は、EC運営におけるさまざまな判断の土台になります。
市場規模がわかると何が変わるのか
商品企画・仕入れの判断
新しい商品を投入するかどうかを検討するとき、そのジャンルやサブカテゴリにどの程度の市場があるかは重要な判断材料です。市場が大きければ売上の天井も高くなりますが、競合も多くなる傾向があります。市場が小さいニッチ領域なら、少ない投資で上位を狙えるかもしれません。
広告予算の配分
市場規模が大きいジャンルでは、広告で獲得できる売上のポテンシャルも大きくなります。逆に、市場が小さいジャンルでは大きな広告費をかけても回収が難しい場合があります。市場規模を踏まえて広告の予算配分を決めることで、投資効率を高められます。
目標設定
「月商100万円を目指す」という目標を立てるとき、そのジャンルの市場全体がどの程度の規模で、上位ショップがどの程度のシェアを占めているかを知っていると、目標が現実的かどうかを判断しやすくなります。
市場規模の「数字」よりも「構造」が大切
楽天市場のジャンル別の正確な売上額を知ることは難しいですが、実は正確な数字よりも市場の「構造」を把握する方が実務的には役立つことが多いです。
- ジャンル全体の売上が上位ショップに集中しているのか、分散しているのか
- 月内の売上変動が大きいのか、安定しているのか
- どのサブカテゴリに売上が偏っているのか
- 市場全体のトレンドは上向きか、横ばいか
これらの「構造」を把握しておくと、「このジャンルでどう戦えばいいか」が見えてきます。
市場規模を調べる方法
楽天市場はジャンル別の売上データを公開していませんが、いくつかの方法で市場の規模感をつかむことができます。
方法1: 楽天の公開情報から推測する
楽天グループは四半期ごとに決算発表を行っており、楽天市場全体のGMS(流通総額)は公開されています。ただし、ジャンル別の内訳は公開されていないため、個別ジャンルの市場規模を直接知ることはできません。
楽天市場全体の流通総額のトレンド(伸びているか横ばいか)を把握しておくと、市場全体の健全性の判断材料にはなります。
方法2: ランキングとレビューから規模感を推測する
ジャンル内のランキング上位商品のレビュー数や、ランキングに入っている商品数から、ある程度の規模感を推測できます。
- レビューが数千件ある商品が多いジャンル: 市場が大きく、購入頻度も高い
- レビューが数十件の商品でもランキングに入るジャンル: 市場が比較的小さい
- ランキングの商品数が多いジャンル: 出品者が多く、活発な市場
これは正確な数値ではありませんが、ジャンル間の相対的な規模感を比較するには十分です。
方法3: 検索ボリュームから需要を推測する
楽天市場のサジェストや、Googleのキーワードプランナーで関連キーワードの検索ボリュームを確認する方法もあります。
- 楽天サジェスト: 検索窓にジャンル名を入力すると表示される候補キーワード。候補が多いほど、そのジャンルの検索需要が活発であることを示唆しています
- Googleキーワードプランナー: 「楽天 ○○」のようなキーワードの月間検索ボリュームを確認。ただし、Googleでの検索と楽天内での検索は別物なので、参考値として捉えてください
検索需要が大きいジャンルは市場規模も大きい傾向がありますが、検索ボリュームと売上が必ずしも比例するわけではない点に注意が必要です。
方法4: 自社の売上シェアから逆算する
自社の売上とジャンル内での順位(ランキング)がわかれば、おおまかな市場規模を逆算できる可能性があります。
たとえば、自社が月商50万円でジャンルランキングの30位前後にいる場合、上位30ショップの合計売上はある程度推測できます。もちろん精度は高くありませんが、オーダー感(数千万円規模なのか、数億円規模なのか)をつかむには有用です。
この方法は、自社が既に出店しているジャンルでしか使えませんが、新規ジャンルへの参入を検討する際に「自分の今のジャンルと比べてどの程度の市場か」を比較するベンチマークとして活用できます。
方法5: 分析ツールを活用する
ミエルジャンのような分析ツールを使うと、ジャンルごとの上位ショップのシェア構造や、売上の推移パターンをデータで確認できます。市場の絶対額はわからなくても、「このジャンルは上位が集中しているのか分散しているのか」「売上は伸びているのか横ばいなのか」といった構造的な情報が得られます。
市場構造レポートでは、ジャンルごとのショップ別シェア、サブカテゴリ構成、売上推移をグラフで可視化しています。
【データで見る】34ジャンルの市場構造
ミエルジャンで楽天市場の34ジャンルを横断的に分析して見えてきた、市場構造に関する傾向を紹介します。
どのジャンルでも上位ショップにシェアが集中する傾向がある
34ジャンルの上位3ショップのシェアは平均約49%でした。つまり、多くのジャンルで上位わずか3ショップがジャンル全体の売上の約半分を占めている傾向が見られます。
ただし、集中度にはジャンルによって幅があり、約40%〜約70%と差があります。集中度が高いジャンルは参入障壁が高く、分散型のジャンルはチャンスが大きいと考えられます。
市場全体のトレンドは堅調
34ジャンルの直近トレンドを見ると、上昇傾向が13ジャンル、横ばいが17ジャンル、下降が4ジャンルでした。「楽天市場はもう伸びない」という声も聞きますが、データを見る限り、多くのジャンルではまだ成長や安定の余地がありそうです。
下降傾向が見られたジャンルでも、サブカテゴリの中には成長しているものがある可能性があります。ジャンル全体のトレンドだけでなく、サブカテゴリ単位の分析も合わせて確認するとより正確な判断ができます。
価格帯はジャンルによって大きく異なる
34ジャンルの商品価格の中央値を比較すると、最も高いジャンルと最も低いジャンルの間に200倍以上の差がありました。高価格帯のジャンル(家電、時計等)と低価格帯のジャンル(日用品、コスメ等)では、必要な在庫投資額や広告費の水準もまったく変わります。
市場規模を考えるときには、「取引件数が多い市場」と「1件あたりの金額が大きい市場」は区別して考える必要があります。
視点 | 件数型の市場 | 金額型の市場 |
|---|---|---|
例 | 日用品、食品、コスメ | 家電、家具、時計 |
市場の特性 | リピート購入が多い | 1回の購入金額が大きい |
重要な指標 | リピート率、購入頻度 | 転換率、客単価 |
広告戦略 | CPA重視、薄利多売OK | ROAS重視、確実な利益確保 |
ジャンルの4タイプ分類で市場構造を整理する
売上の集中度と変動度を2軸で見ると、ジャンルは4タイプに分けて整理できます。
- イベント駆動型: 市場は大きいがイベント依存度が高い。イベント時に大きく動く
- ブランド支配型: 上位ショップが市場の大部分を占める。参入障壁が高い
- チャンス型: シェアが分散していて変動も大きい。新規参入のチャンスが多い
- ロングテール型: 安定的で多くのショップが共存。地道な改善が効く
市場規模の「数字」だけでなく、こうした構造を理解しておくと、「この市場にどう参入すべきか」「どのくらいの投資が妥当か」の判断がしやすくなります。
楽天とAmazonで市場構造が異なるケースも
楽天市場とAmazonの両方に出店している場合、同じジャンルでもモールごとに市場構造が異なることがあります。
ミエルジャンで楽天とAmazon共通15ジャンルを比較したところ、楽天はイベント時に売上が大きく変動する一方、Amazonは日常購買中心で安定的な傾向が見られました。同じジャンルでもモールによってショップの集中度が逆転するケースもあり、「楽天では参入が難しいが、Amazonなら戦える」(またはその逆)という状況が起こりえます。
モール間の市場構造の違いについては楽天市場とAmazonの違いで詳しく解説しています。
市場を見る3つの時間軸
市場規模を調べるときは、以下の3つの時間軸を意識すると、より立体的に市場を捉えられます。
- 現在のスナップショット: 今の集中度、上位の顔ぶれ、価格帯
- 短期の変動: 月内のイベント影響、季節変動
- 中長期のトレンド: 数ヶ月〜1年単位で市場が伸びているか、縮んでいるか
特に中長期のトレンドは、参入判断や投資判断に大きく影響するため、定期的なチェックが大切です。
市場規模データを意思決定に活かす
市場の構造が見えてきたら、それを具体的な判断に活かしましょう。
参入判断: このジャンルに参入(注力)すべきか
新しいジャンルへの参入や、既存ジャンルへのリソース集中を検討する際に確認すべきポイントをまとめます。
- 市場のトレンド: 上昇傾向なら参入のタイミングとしては良い。下降傾向でもニッチなサブカテゴリは伸びている可能性がある
- 集中度: 分散型のジャンルは参入しやすい。集中型は差別化が必要
- 価格帯: 自社が扱える価格帯の商品で勝負できるか
- イベント依存度: イベント時に大きく売上が動くジャンルは、イベント施策のノウハウが求められる
目標設定: 現実的な売上目標を立てる
ジャンルの集中度データを参考にすると、現実的な目標が立てやすくなります。
たとえば、上位3ショップが約50%のシェアを持つジャンルで、10位以内に入ることを目指すなら、残りの約50%のシェアを上位4〜10位で分け合うことになります。自社がその中でどのポジションを狙えるかを、現在の売上やレビュー数から逆算して考えてみましょう。
投資判断: 広告費や在庫投資の水準を決める
市場規模が大きいジャンルでは、広告費や在庫への投資も大きくなる傾向があります。市場の構造を把握したうえで、「このジャンルでシェア○%を取るために必要な投資はどのくらいか」を見積もることで、無理のない投資計画を立てられます。
広告の使い方については楽天市場の広告の種類と使い方、売上の分析方法については楽天市場の売上分析のやり方も合わせてご覧ください。
撤退判断: 見込みのないジャンルから撤退する
市場規模やトレンドのデータは、「この領域から撤退すべきか」という判断にも使えます。下降傾向が続いているジャンル、上位のシェアが圧倒的で参入余地が見えないジャンルなどでは、リソースを別のジャンルに振り向ける判断も必要かもしれません。
撤退を検討すべきシグナル:
- ジャンル全体のトレンドが下降傾向で、自社の売上も減少している
- 上位ショップとのシェア差が開く一方で、縮まる兆しがない
- 広告のROASが悪化し続けている
- 価格競争が激化して利益率が低下している
ただし、ジャンル全体が下降傾向でも、特定のサブカテゴリでは成長が続いているケースもあります。撤退を判断する前に、カテゴリシェアの分析でサブカテゴリ単位の状況を確認しておくことをおすすめします。
市場規模データの定期チェック
市場構造は時間とともに変化します。定期的にデータを確認する習慣をつけておきましょう。
- 四半期に1回: ジャンル全体のトレンド(上昇・横ばい・下降)を確認
- 半年に1回: 上位ショップの集中度に変化がないかチェック
- 新商品投入前: 投入先のサブカテゴリの規模感と競合状況を確認
市場のトレンドやショップ別シェアの変動は、ミエルジャンの市場構造レポートで確認できます。
よくある質問
Q: 楽天市場のジャンル別売上データは公開されていますか?
楽天市場はジャンル別の売上データを公開していません。楽天グループの決算資料で楽天市場全体のGMS(流通総額)は確認できますが、個別ジャンルの内訳は開示されていません。ジャンル別の売上構造を把握するには、ランキングやレビューからの推測、またはミエルジャンのような分析ツールの活用が有効です。
Q: 市場規模が小さいジャンルに参入する意味はありますか?
市場が小さいジャンルには「ニッチ」ならではのメリットがあります。競合が少ないため少ない投資で上位を取りやすく、「専門店」としてのブランディングも可能です。また、小さな市場で上位を確立してから、隣接するジャンルに展開するという成長戦略も取れます。市場の大きさだけでなく、競合の少なさやリピート率の高さなど、総合的に判断するのがおすすめです。
Q: 楽天市場全体の市場規模は伸びていますか?
楽天グループの決算発表によると、楽天市場のGMSは長期的に成長を続けています。ただし、ジャンルごとに成長率は異なります。ミエルジャンの分析では、34ジャンル中13ジャンルが上昇傾向、17ジャンルが横ばい、4ジャンルが下降傾向という結果でした。楽天市場全体としては堅調ですが、自分のジャンルのトレンドを個別に確認しておくことが大切です。
Q: 市場規模の調査にどのくらいの時間をかけるべきですか?
簡易的な調査であれば、ランキングとレビュー数のチェックで30分〜1時間程度あれば規模感はつかめます。分析ツールを使えばさらに効率的に構造を把握できます。本格的な参入検討であれば、2〜3週間ほどランキングの変動を観察して、イベントの影響や競合の動きも含めて判断することをおすすめします。
まとめ
正確な数字よりも「構造」の把握が実務的
ジャンル別の正確な売上額を知ることは難しいですが、上位ショップの集中度、売上の変動パターン、サブカテゴリの構成、市場のトレンドといった「構造」を把握しておくことで、商品企画や投資判断に活かせます。
34ジャンルの横断分析から見えること
ミエルジャンの分析では、多くのジャンルで上位3ショップがシェアの約半分を占める傾向が見られました。また、市場全体のトレンドは堅調で、多くのジャンルに成長や安定の余地がありそうです。ただし、ジャンルによって構造が大きく異なるため、「楽天市場全体」ではなく「自分のジャンル」の市場構造を確認することが大切です。
市場の「構造」から戦略を導く
市場規模データは、参入判断、目標設定、投資判断、撤退判断など、さまざまな意思決定の土台になります。まずは自分のジャンルの市場構造をデータで確認してみるところから始めてみてください。
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